紫折菜のこと

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大地を守る会さんからお声がけいただいたのがきっかけで、冬場に「日本むかし野菜」として紫折菜(むらさきおりな)をお届けしています。

大地さんでは、野菜の収穫期に合わせて無理なく出荷できる仕組みを採用してくださっています。本当にありがたいことです。
大地会員の皆さんには、紫折菜のみならず、野菜のいちばん美味しいところが届いているのではないかなと思います。

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普段は東京や日本国外にいる子どもたちが、庄内に来るといそいそとハウスに出かけていきます。取り残しがないように(大人よりも)気をつけながら、きちんと仕事をします。

農家のみなさんは、この画像であれ?と思われるかもしれませんが、もともとはこんなに収穫しにくい状態で植えたわけではありません。ちゃんと畝立てしたつもりなんだけども…と会長。

「生命力が強くて、ちょっとこぼれた去年の種が、次々に発芽してる」とのこと(笑)

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「分け入っても分け入っても青い山」(種田山頭火)を思い出します。

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実は、このハウスの中ほど5メートル程が、雪の重みで陥没しています。
雪は質にもよりますが、1立方メートルあたり300キロ前後。超重たいです。

しかしながら、陥没部分の周辺は風が入り気温が日中も上がりにくいため、成育が遅れ気味でした。そのおかげで、期せずして収穫期のピークをずらすことができたという思いがけない効果もありました。。

ただ、雪は重いです。ハウスはヤワです。降雪の時期は、やはり注意が必要ですね。

台車に積んで、次はパック詰めです。この日の外気も10℃以下。
それでも鮮度は落ちてしまいますので、手早く!

計測して、袋詰して2℃の保冷庫へ。

紫折菜の収穫は、4月にお米の準備が始まるまで。本来はもう1ヶ月は収穫できるのですが、作業をシフトしないとならないため、打ち止めです。

どなたか収穫してくださる方がいらっしゃれば、お声がけください。女性農家さんにもおすすめです。

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生ハムと炒めただけ。塩気も生ハムから。火を通すと、紫が鮮やかな緑に変わります。

収穫するときに、パキっといい音がするんですよ!

来年まで、どうぞお待ちください。

作物の生育と収穫に合わせて出荷できる仕組み、どんどん広がって欲しいです!

 

 

 

 

3/5 Oisix.daichiのN-1 SUMMITに参加して

3月4日は有楽町の交通会館でOisix.大地さんのオーガニックフェスタ。そして5日は、大井町きゅりあんを会場に、N-1 SUMMITと、イベント目白押しでした。

N-1 SUMMITに先立って、小さく開催された特別コンテンツ。なぜかオイシックスさんになると、急に片仮名が増えていますね(笑)

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株式会社ルートレック・ネットワークさんが開発した次世代養液土耕システム「ゼロアグリ」の紹介と実践している横田さんのお話でした。筆者いずもじ自身がIT好きですから、興味津々。

費用はどうですか?
長年経験則で農業をなさっていて、いざ導入するときに抵抗というか迷いはありませんでしたか!?

等々、思わず質問してしまいました。ここで表現するのはとても難しいのですが、「迷いはあったし、今でも正直半心半疑のところもあるけれども、世代交替も含めて何らかの変化が必要だと思った、そしてオイシックスさんからの補助もあったから」ということでした。(私自身も農家生まれという贔屓目もありますが、農の民は世界共通、朴訥としていていいなぁと思ったわけですが。。)
さらに、ゼロアグリの社長さんもいらしていて、ご自身で説明をしてくださったので、熱意が伝わってきました。

横田さんの栽培したミニトマト。その場でパクパク。ゼロアグリ栽培と通常の栽培の食べ比べ。

ただ、まだ利用できるのは管理されたハウス内でということでしたので、路地で有機肥料を使った場合の実用化は、もう少し先のようです。

ところで、日本ではさっさと禁止エリアが設けられてしまったドローンですが、先日イタリアのおもちゃ売り場でドローンの棚ができているのを見てびっくり。

禁止区域が設定されていない弊社農場では、ドローンで農場や田んぼの様子、ハウス内のを確認するのが良いと思います。月山パイロットファームの社長も会長も、その昔からラジコン好きですが、次世代の子どもたちとともに楽しみ半分で空撮などどうかなと。おそらく、上空から撮影すると、農場や田んぼでの成育状況が一目瞭然だと思うのです。オーブンの焼きグセのような、圃場のクセが見えてこないかなぁと。

おもちゃ売り場でドローンを買って来ればよかった!と、会場でひそかに悔やんでいました。

本題。N-1 SUMMITです。

市場法の改正に関して、パネルディスカッション。
流通が変わってくれば、またチャンスが生まれるのか、単に強いものが勝つだけか。個人的には、新幹線貨物とか高速バス小荷物とか、思うところがありました。

なにせ、月山パイロットファームで出荷し始めている生活クラブさん向け「はればれキャベツ」。折角育ったのに、大きすぎてダンボールに4つしか入らない、輸送コストが高すぎて届けられないという事態も。

農家オブザイヤーという表彰式もあって、最高金賞は福島わかば会さんのきゅうり!

きゅうりひとすじ、50年の大大ベテランの方でした。先日他界してしまった祖父を思い出しながら(このときは存命中でしたが)、畑をこよなく愛する方だろうなと壇上を見上げておりました。

わかば会さんのきゅうりは、ボツボツの棘があるタイプで、最近スーパーでは見かけなくなった品種ですが、みずみずしさは格別。漬物にしたときにも、パリンパリンの食感が残ります。

きっと最盛期には、おそろしい量で採れるはずなのです。
月山パイロットファームでも、専務と会長が夏場は朝5時から6時半まで、必至になって毎日収穫しても翌日にはまた同じ。競争という言葉がぴったり!

きゅうり、食べてみたいですね!おいしい野菜は、「身体がよろこぶ」という表現がぴったり

そして、大地やオイシックスを利用したことがない皆さんによる、ぶっつけの食味評価。星がならんで、担当者もホッと一息!

「ガチ評価」らしいです。20180305n1-8

最後は、高島社長による挨拶と、会場のオンラインアンケート。
システムも初稼働とのことですが、うまく動いていましたね。

日本の有機市場は1700億円。アメリカは3兆超え。
日本の市場を2倍3倍10倍にしていけるように、微力ながらお力添えできたらよいなと思った次第です。(文責:いずもじ)

3/17 枝元なほみ連続講演会『しあわせごはんと愉快なお話』第3回に参加して

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こちらの講演会は、昨年20171111日に生産者交流会にお声がけいただいた生活クラブ埼玉越谷ブロックの三郷八潮支部のみなさんが主催されています。

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そのご縁で、1月・2月と連続して開催された枝元さんの講演会にも、出てみたい!お話を聞いてみたい!と思っていたのでした。ようやく3回目最終回に参加できた次第です。

お米の生産者ということで、YOUを育てて生活クラブさんに供給している、山形県の(!!)遊佐町共同開発米部会の池田さん・伊藤さんのお話も聞くことができました。
実際作物を育てている人たちと話す機会、実は本当に少なくですよね。そして、生産者が食べる人から直接話を聞く機会も少ないです。ほんの短い時間でも、お互いの立場にとって貴重な場だと思います。

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さて、枝元さんは、本場インド仕込みのチキンカレー!NHKきょうの料理に出演されているときも楽しそうにお料理するなぁと思っていましたが、実物はさらにしあわせな雰囲気が漂っていました〜〜〜

お料理が美味しくなるわけですよね。

種には力があるんですよ!
お米も種ですよね。」
「また国会に行ってきます!」

種子法、種のお話もまじえながら、カレーに加えるコリアンダーやクミンシードを会場に回してもらい、手にとって確かめてもらっていました。カレーも奥が深いですね。そして、月山パイロットファームの赤かぶ漬との相性も良い(笑)

枝元さんは、一体どこからあの行動力が出てくるの?と不思議に思えますが、決して多くない言葉でしっかり伝える力が備わっているのは、やはり日々ご飯をつくり、作物を育て、発言をして行動しているからかなと思いました。

私たちも、背伸びする必要はありませんね。

『私たちが選ぶ食は未来を選ぶこと』
枝元さんの言葉です。

本当にそうですね。未来を変える力は、すべて私たちの一つ一つの行動に備わっています!
三郷八潮支部のみなさん、本当にありがとうございました。

(文責:いずもじ)

3/3 大地を守る会「これからの種cafe」に参加して

加工食品製造者会議の途中から、種子法に関係する「これからの種cafe」に月山第二農場代表の近藤さんと一緒に参加。

講師は印鑰智哉さん。30分の弾丸トークでしたが、主要生産物種子法が廃止になったことが、これからどのように影響してくるのか、メリットを得る企業について、そいsて農家・消費者にとってどのような意味合いを持つのかを分かりやすく学ぶことができました。

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主要農産物種子法は、安定的に優良な品種のコメ、大麦、はだか麦、小麦及び大豆の生産を行うために、国や自治体が果たすべき役割を定めたものでした。

たとえばコメで言えば、種モミは4年の歳月をかけて初めて農家の手にわたるという、周到な計画のもとに管理され守られてきたものだそうです。北海道や新潟県、宮城県などはいち早く予算化して、自分の地域に適した種子を育て続けることに動きましたが、我らが山形県は…と気になるところです。条例の制定には一定の時間がかかりますので、この課題を、より多くの方々に共有して行きたいと思います。

◆日本農業新聞
https://www.agrinews.co.jp/p43671.html

◆農業共同組合新聞でもこの話題に触れています
http://www.jacom.or.jp/kome/closeup/2018/180330-34958.php

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会員のみなさんも交えて、種に関心のある皆さんが集まっていました

欧米・アジア各国では、有機農業が年8%程度の急速さで広がりを見せているそうです。食べ物で人の健康が作られ、より良い生活につながるということを、素直に受け止めているからだと思います。

ビジネスとしても、きちんと成り立つ土壌があるということでしょう。
食の安全性など口にすると、ママ友から距離を置かれてる?と思うこともしばしばですが、めげずに土壌を育んで行くことが大切ですね。

時間はかかると思いますし、かけてよいのだと思います。
とはいっても、繰り返しますが、日本の農業従事者の平均年齢66歳(農水省「農業労働力に関する統計」)。
3月5日のN-1 SUMMITで話されていた農事組合法人さんぶ野菜ネットワークの下山さんによると、70代の農業者が持つ技術の伝承がこれからの鍵になるとおっしゃっていました。近年の気候変動に対応できる技術を持つ農業者は、およそ60名のさんぶの組合員の中でさえ、ベテランの2〜3名とのことでした。

一夜にして、農場のじゃがいもが全滅するくらいの虫の大量発生も実際経験しているため、AIを駆使したとしても、路地栽培で有機栽培を実践していくには消費者や政府の強力なバックアップが必要になると思います。

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100年後も続く日本の農業を目指して!楽しいし、美味しいからこそ続けられます

次世代にいい形でバトンを渡したい。日本人として誇りを持っていたい。
この会でもまた、同じことを感じました。

(文責:いずもじ)

 

 

 

 

3/3 大地を守る会加工食品製造者会議に参加して

毎年お声がけいただいている大地を守る会の「全国加工食品製造者会議」。今年は、大崎に移って初の会です。今回からOisix.大地としての開催で、二つの会社の知恵と経験がつまった会という印象を受けました。もちろん、まだまだこれからでしょう!

それはそうと、世の中の動きは、多国籍企業の進出で、さらに加速しています。食品業界も同じ。マーケティングで消費者ニーズをさぐり、それに見合うものを、迅速に安全に確実に提供できないと勝ち残れない、という印象です。

まともに煽りを受けるのは、月山パイロットファームのような弱小企業や小規模の農業生産者。人手不足も深刻ですから、本当に綱渡りの状態が続いています。もちろん、まだまだ変える余地はありますが。

Oisix.大地さんや生活クラブさんなど、中間になる小売・団体がある程度のロットで発注してくださり、流通がまとめて集荷して運んでくださるからこそ、実際に購入して食べる消費者の方々につなげてもらえます。弊社は添加物を入れないことから、各過程で低温を維持していただかないと事故につながるので、本当にありがたいことです。

他社事例や食品業界の潮流を改めて教えて学ぶことで、大きなプレッシャーも感じつつ、対応すべき課題が浮き彫りになってきます。自社で育てた農産物や自社で作った漬物を、さらに自信を持って届けるには何が必要かな?管理や検査はもちろんですが、前提として、働き手一人ひとりに意識的に各工程を担ってもらうことであると思います。

弊社の働き手たちは、過去も現在もとても優秀。もちろん色んな考え方の人たちがいますが、彼ら彼女らが貴重な人生の一コマを月山パイロットファームに費やしてくれているからこそ、何とか続けていられるのだなぁと思ったのでした。

 

蛇足ですが、大学の講義のときから、基本的に2列めで受ける私ですが、この男性占有率の高いスーツの中に入る気にはならず…世界経済フォーラムによる男女格差指数ランキング144カ国中111位(2016年)の日本ということが頭をよぎったわけですが… これはOisix.大地さんとは無関係に、大きな会合でいつも思うことです。

が、実際に話すと哲学を持った方々が多いのも、Oisix.大地さんなどの会議の特徴。今回は、久留米の石橋製油さんとお隣になり、「僕、マス(大量生産)には興味ないんですよ。」と言い切る姿に感銘を受けた次第です。(文責:いずもじ)