2023年夏 だだちゃ豆

生育のタイミングを逃すと、手の施しようがない程の草に埋もれます。

畝の間に佇むと、自分がピータラビットのうさぎになったかと錯覚。草むしり「体験」程度ですが、鎌を使ったり、引き抜いたりしながら10センチくらいずつ先に進みます。

毎年のことですが、頭に浮かぶのは、種田山頭火『分入っても分入っても青い山』。分入っても分入っても緑。

そして、草むしり/草刈りを頑張ったにもかかわらず、記録的猛暑の庄内平野でも雨が足りず、お盆過ぎの最も美味しい品種が全滅…

燦々と陽が降り注ぐようになったと、満足だったのも束の間でした。
無駄な努力だったかもしれないですが、あれ程の草ですから、だだちゃ豆の根元にしっかりと敷いておいたら良かったかなと、今でも後悔しています。

来年も生産を続けるか?という疑問に対し、秋口は「もうやめよう」でした。

月山パイロットファームだけでなく、多くの高齢者が多い生産団体や農家の皆さんは、同じことを考えていたと思います。

ここでチャンス!と思うほどにアグレッシブだと良いのですが。ドイツやフランスの農家は、トラクターでベルリンのやパリの凱旋門を占拠するなど実力行使に出ていましたが、その元気すらないのではと思うことも。

しかしですね、収穫したてのだだ茶豆、何とも新鮮なのが伝わるでしょうか。

茹でた時の香りが、普通の枝豆とは別物。まさに庄内の大地とお日様の味と香りの賜物なわけです。

この写真を見ただけで、味の想像がつくわけで、絶対にまた食べたいと思います。記憶の中で、味のスタンプは極めて強いですね。とにかく、私は、少なくとも自分で食べる分は育てるために尽力しよう、と心に誓うのでした。

こんなに美味いものを食べずにいられるものか!←本気です。

月山パイロットファームの圃場のだだ茶豆は、農産物というより「価値」です。食べたときに、口の中や胃袋というよりも、脳の奥が決定的に刺激される感覚。ぜひ現地でご賞味いただきたい食体験です。

2023年7月の生活クラブ庄内交流会で、プレゼンした際の「だだ茶豆はどれでしょうクイズ」。もはや木と化した草を鎌でカットするのに夢中なあまり、だだちゃ豆まで間違って切ってしまうことも。

2024年は、予想以上の収穫となったという報告をしたいものです。

文責:出雲路