芽が出てふくらんで…青々と稲ベビー

先日の苗ばこは、緑で満たされました。

種の遺伝情報と発現の過程は、まさに神秘。究極的に、まだ経験の域を出ません。

これからは、田んぼに植えても大丈夫なくらいまでに、大事に育てていきます。
水分・気温・風量など、細かに気を遣わないと、一部の苗だけ枯れたり、育たなかったりしてしまいます。

時期が極めて重要ですので、後戻りややり直しはありません。

農業は機械の知識も必要?まずはトラクター

多くの自然農法の場合、化石燃料を使う大型機械は田んぼや畑に入れることに否定的です。本当にその通りです。できれば、化石燃料から抜け出したい!

ですが、現実の農業はそう簡単に割り切れるものではありません。

私たちが日常的に自動車や電車を使い、集合住宅に住み、スマホやPCで情報をやり取りしているのと同じレベルで、農業機械を使って生産することが原則になっています。

と言うことで、まずはいきなりトラクター。家庭菜園とは様子が違い、耕運機ではなくてトラクターです。

田んぼを力強く進んでくれそうなトラクターですが、現実はなかなか難しいです。
一面同じように見える田んぼや畑ですが、実際には水分を溜め込みやすところ、風通しが良く乾燥しやすいところ、粘土質がより強いところ等々、本当に状態は様々。
横倒しになれば命の危険もありますので、時間をかけて慣れていただくのが最良だと思います。

…社長も例外ではなく、農家の男子の車好きは、小さい頃から働く乗り物を見ているからかもしれません。一説によると、田植え機ほど面白い乗り物はないとか…

文責:出雲路

種まき-季節はめぐる コロナが迫っても待ったなし

稲の種まきの季節がやって来ました。
例年、この日は村の人たちと一緒に、種まき。もう何十年(何百年?)も行っていることで、稲作の過程で、最も大切な日の一つと言えるでしょう。

今年から、社長が重責を担っているヤマガタデザインさんとの共同作業の初年度。
有限会社月山パイロットファームで管理している田んぼのすべてを、有機田に変えるべく、挑戦の一年です。

超高学歴(!)の方々がヤマガタデザインさんチームから応援に来てくださいましたが、村の人たちも皆ウェルカムムード。本当にありがたいことです。
大変失礼ではありますが、ご高齢チームにとっては、「一緒に稲を作る」という、これほどの喜びはないかもしれません。
良いことも悪いことも、長い時間の中でゆっくりと受け入れられるのが、庄内の良さかもしれません。のんびりしています。。

有機認証を取得した米は、会長・社長も毎年作付けして来ているので、十分な知識と経験は蓄えられつつありますが、とは言え、この世界的な気候変動と言われているときです。
油断できる状況ではなく、すべて実験、その名の通りパイロット(実験)事業です。

電柱は邪魔ですが、からし菜と桜のコントラストは、この季節の贅沢。花は食べられますし、花も茎も葉も、ほんのり辛さがあります。

農業従事者の平均年齢が66歳程度と言われますが、山形県も例外ではありません。
外国で食糧の問題は国の課題として捉えて政策をとっていることと比較すると、随分と見劣りしてしまったのが日本です。

コロナウィルスが襲ってくれば、真っ先に重症化する危険が高い年齢層。日本中、そうです。非常に心配です。現在の日本は、団塊世代が何とか頑張ってくれているからこそ、成り立っているのかもしれません。少なくとも、農業分野はそうでしょう。

とは言え、農業を実践する若い方々にとって、この災いが大きなチャンスになります。使えるIT技術も、これまでなかったアイディアも、とことん試すと良いでしょう。
変化を好まない意見は、受け流しておけばOKです。

コロナウィルスの蔓延は、一年以上の長期にわたると考えており、野菜や食べ物は当然スーパーに並ぶもの、生協や通販でクリックすればいつでも買えて持って来てもらえるものではなくなります。

野菜や食べ物の一部が理想と違うと言って、いとも簡単にクレームを出して来た人たちが、自分の判断の甘さと過ちの大きさを知ることになるでしょう。

この状況で、社会で最も弱い層の人たちにしわ寄せが行ってしまうことにならないか、支援の心を忘れずに過ごしたいと思います。

ジャガイモの種イモを土のベッドに。大きくなーれ!

コロナウィルス感染拡大は、山形県でも残念ながら止まる気配がありません。
吉村知事が、山形国境(!)でできる限りのチェックと、県外から来た方の14日隔離を明示してくださって助かりました。

出だしはやや遅れましたが、県外からの研修生の方々も、そして受け入れる側も、安心して作業に向かうことができます。

各市町村にあった保健所は、現在庄内で一つだけですし、スタッフ数と防護服・呼吸器の設備の調った感染症専門病院もありません。しかも、65才以上の人口がおよそ35万人、全体の3割です。

この春を、「あんなこともあったね」と振り返られる日が来ることを願いつつ、研修生の方々が収穫の時を迎えられることを祈っています。

1年間、どうぞよろしくお願いいたします。
そして、皆様健康に過ごされますように!

(文責:出雲路)

ひろっこ またの名をアサツキ 庄内の春一番

ひろっこの酢味噌あえ。
日本で、しかも庄内地方で、この時期にしか食すことが出来ないひろっこ。
生産者も限りなく減ってきているので、超レアものと言えます。

例年であれば、雪の下から掘り起こして出荷することもある #ひろっこ。一般には、アサツキと呼ばれています。

月山パイロットファームのある庄内地方では、この季節に掘り起こして、ほんの少し緑色が見える見えないかの小さなときを狙って食べます。

ちなみに、根っこを切るときには、目から鼻から喉から、あさつきの成分が入ってきます。子どもに手伝ってもらうと、身体が小さいこともあり、より距離が近いこともあってか、本当にポロポロ涙が出てきます。
この季節に、あさつきの根切りをすることが、身体にとっても良い効果があるのだろうなと感じます。風邪も吹き飛ぶ刺激です。

それにしても、自然の営み、自然に寄り添った暮らしというのが、いかに理に適ったものなのでしょう。このようなことは、旬を無視して売られているものを買い求めるだけでは、残念ながら想いが至らないものでしょう。

根を切ります。このまま土に植えればぐんぐん育ちます。つまり、本当に生きたままでパックされています。

今年は、出荷予測を遥かに下回る注文数。しかも、暖冬。ぐんぐん伸びすぎて、青い部分が多くなってきています。

根と切り分けたら、さっと茹でて、酢味噌と和えます。食べる直前に混ぜるのがコツ。

根や枯れた葉を取り除くため、大きめのボールにたっぷり水を張って、ざぶざぶと洗います。あまり神経質にならずともOKです。

茹でるときに落ちるし、おそらく根は栄養たっぷりなので、マクロビオティックの食生活の方々は天ぷら等でいただくのだと思います。

茹でると、一層鮮やかに。在来の作物のパワー、ビタミンが不足する長く寒い冬を乗り切る先人の知恵を感じずにはいられません。

沸騰したお湯に入れて、ほんの1〜2分。硬さの好みにもよりますが、歯応えが残るくらいがベスト。

生活クラブさんのデポーには、一定数量を置いていただいています。
伸びすぎないうちに(!)、どうぞお早めに食べてくださいね。

デポー浦安さんで発見!

甘めの酢味噌がいちばんのおすすめですが、私市醸造さんのお酢(醸造酢)で作った後に、5分くらい酢味噌を空気に晒しておくと、味が滑らかにまとまります。

*出荷までにお時間を要することがあり(育つまで待たないとならない時があります)、個人のお客様や飲食業の方々の発注のご希望に添えないことがあります。どうぞご理解の上、どうぞ気長にお待ちいただきますようにお願い申し上げます。

2019もってのほか ピンクの食用菊

もってのほか美味しいというのが名前の由来。
その名も「もってのほか」。とても繊細な味わいの、在来種の食用菊です。

甘酢につけると、見事に発色するもってのほか。
天ぷらにしたら、その美しさの想像はつくはずです。

ハウスで鈴なり!
当然ですが、無農薬ですし、無化学肥料です。経費と労力のかかるJAS有機認証は取りません。大量販売もできません。

大地さん向けに、細々と出荷をしていましたが、まだまだこの通り勢力旺盛です。

黄色の食用菊は目にすることがあると思いますが、食感がよりシャキシャキしていて、酢との反応でアントシアニンが発色します。特有の苦味(瞬時に消えます)が、食欲をそそります。

冬場は、これを甘酢に漬けて、貴重な保存食として食べてきました。雪に閉ざされる庄内、そしていつの時代も発信力の弱い(したがって全国区にならない)、陸の孤島庄内ならではの食材の一つと言えます。

在来作物を残したいという意思のあるシェフの方、バイヤーの方、小さい頃に食べた味をもう一度再現したいという庄内出身の方へ、こんな食べ物もひっそり残っていますよ!

とにかく全世界のサーバーに記録として留めておきたい、日本の片田舎の在来食物です。

(文責:いずもじ)

2019白鳥飛来 稲作が生み出す景色

山形県鶴岡市三和より 冠雪の月山

彼らは安全な水場と餌があれば、別にどこでも行くのでしょうが(笑)
とにかく気に入ってもらっているらしいです。

そもそも派手な色のない世界です。それでも白鳥の白さは、ここに溶け込んでいますよね。