2019年3月4日、大井町きゅりあんで行われたN-1サミット。
オイシックス、大地を守る会、らでぃっしゅぼーやの3社が一緒になって、正式にOisix ra daichiさんとしてスタートして、初のN-1サミットです。
農家オブザイヤー
純粋に利用者の投票によって選ばれるという農家オブザイヤー。ノミネートされた生産者には、お名前を存じ上げている方もいらっしゃって、頑張ってるなぁ!と逆に励まされたりもします。
農家オブザイヤー2019
独り言…
しかし一方で、抗し難い危うさも感じました。
ネットやカタログで商品を選んでもらうことを想定する場合、野菜でも何でも、とにかく形状が完璧なものを選別して、ある意味デフォルメして掲載をしていきます。その画像ばかりを見続ける消費者は、虫食いや傷のある野菜や果物をどう捉えるようになるでしょうか。
今はまだ、大きな問題にはならないかもしれません。これが、10年後20年後になったら、どうなるでしょう。
不味い漬物を作り続けた結果、食生活の変化も合間って、漬物を食べたいと思う若い層は激減しました。味噌や醤油も同じこと。練り物や豆腐も、見た目だけ立派にすることでコストを下げたところ、結局市場全体を地盤沈下させています。そんな現実が、頭をもたげました。
野菜を過度に選別することは、それ自体高いコストを払うことです。これは生産する農家のみならず、社会全体でのコストです。そして、形状が美しいものだけを揃えることは、それ自体がナンセンス。
多様性を認めたがらない日本人独特の感性が見え隠れするようでした。
ちなみに、月山パイロットファームが2018年夏に出荷しただだちゃ豆(庄内茶豆)、ある生協向けはクレームがゼロ、ある取引先向けは55も出てきました。しかも現品の返却がなし。当然ですが、今後のお取引は差し控えさせていただく旨、お伝えしました。
ワークショップ
藤田会長のご挨拶によると、3社が合併したことで、4000名の生産者とか。
ただでさえ数少ない日本の生産者です。知り合いの知り合いは、知り合いの世界ですね。小売に呑み込まれないように、心して生産者同士のつながりを強めておく必要性を感じました。
ワークショップ等、少人数で他の生産者の方々と話せる機会があるのは醍醐味です。企画運営は簡単ではないと思いますが、非常にありがたいです。
特に経営側、生業として生産を行なっている方の考えや姿勢は、頭が下がるものばかり。悩みや疑問、関心事も共通することが少なくありません。どなたと話しても面白い、そんな会だと思います。
今回は、
○平田牧場の豚肉、国産の小麦と調味料で餃子を作る美勢商事さん
○阪神大震災で大被害を受けながらもジャムを作り続けている樽正本店さん
○トヨタのお膝元で本気のおとうふ作りを行なっているおとうふ工房いしかわさん。
の皆さんとご一緒させていただきました。
おまけに、隣に座ったのは、同郷鶴岡の庄内共同ファームさんでした笑
味と安全性は保証できるほどに美味だけれども、原料コストの圧迫が悩ましい美勢商事さん、ジャムやコンポートに最適の原料品種を探し求める樽正本店さん、国産大豆にこだわって日配品としての豆腐をロスなく作る道を探るおとうふ工房いしかわさん。頷けるものばかりです。
月山パイロットファームの悩みもたくさんありますが、3月末で加工部門を終了するにあたって、どの品目に絞って農業生産を続けて行くか、販売のスタイルはどうするか、これまで蓄積した加工に関する記録とノウハウを、いかに次世代あるいは意思ある方々に手渡していくか=公開して行くか、という点です。
それぞれに課題を抱えながらも、私たちが取り組んでいることは、きっと将来に渡って誇れる事業活動であることを感じました。ただ、まだまだ消費者への理解は進んでいないのも事実です。
それは、私たち自身が、本業が忙しすぎて手が回らないとなおざりにしてきた点を見直すこと。つまり、もっと丁寧に、分かりやすく、過程と工程を伝えることにあります。
伝えようとすることは、自分たち自身の中にも大きな発見があります。
うちら、こんなにスゴイことやって来てたのだね…笑
なんだか流されずに生きている感じがします(感じ、です笑)
そして、思うように伸びない業績、簡単には行かない人材育成と人材獲得、締め付けが強くなる一方の公的な規制、上がる一方のコストと税金・社会保険料負担で、ほぼ喪失しかけている自信を、少しだけ取り戻すことができるのも事実です。
会を設定してくださったOisix ra daichiのみなさん、ありがとうございました!